バンコク
鳴り響くクラクション、隣の部屋から聞こえる嬌声、外から聞こえる酔っ払いの大声
これぞ、バンコクだ
ひとり旅を続けていると時折、寂しさを感じることもあるが、この街は別だ
屋台で日本人には少し辛めのパッタイと少し薄めのシンハービールを飲みながら、シーロムの毎日続く大騒ぎを眺めている間も、スマートフォンの通知は鳴り止まない
リアルとフェイクの境目が曖昧なこの街では、愛の言葉さえ、リアルなのかフェイクなのかわからない
刹那、退廃…そんなのどうだっていい。この街はそんな言葉を笑い飛ばす魅力がある
欲望に忠実あることだけがこの街で楽しむことができるのだ
この街に支配されたように、僕はフェイクの愛に身を沈めていく
そして僕もこの街の一部となって溶け込んでいく